映画感想『ラ・ブーム』13歳の輝きを詰め込んだ、ソフィー・マルソーのデビュー作

ラ・ブーム

この記事では、ソフィー・マルソーのデビュー作『ラ・ブーム』について書いていきます。
ソフィー・マルソーは大好きな女優さんなのですが、熱心に観たのは彼女が20代前半頃の作品までです。
特にデビュー作の『ラ・ブーム』でのソフィーはナチュラルで可愛らしくて、手足はすらっと長く、私の「13歳の時にこうでありたかったナンバー1」な存在なのです。おそらく永遠に。

きらきら輝いて、完全無欠の甘酸っぱい青春を過ごせる人なんて世の中にどれぐらい存在しているのでしょうか。
あの過ぎ去った時代に心残りがある人たちすべてに観てほしい!そして、無理やりソフィーになって疑似体験してほしい!
ちなみにブームとはパーティのこと。このブームでの出会いが物語の軸になっています。
とはいえ、年齢を重ねると子供を心配する親の方に肩入れしてしまったりすることが多い、という方も多数いらっしゃるでしょう。
この作品ではヴィックの恋と並行して両親の内幕も描かれているのですが、彼らは娘の行動を気にしつつ、自分たちもかなり自由に大人の人生を謳歌しています。私はあまり感情移入はできなかったものの、こちらのパートも楽しめました。

目次

映画『ラ・ブーム』の作品情報・あらすじを簡単に。

作品情報

  • ラ・ブーム(La Boum)
  • 1980年(フランス)
  • 監督:クロード・ピノトー
  • ソフィー・マルソー(ヴィック・ベレトン):ブームに憧れる13歳の少女
  • クロード・ブラッスール(フランソワ・ベレトン):ヴィックの父
  • ブリジット・フォッセー(フランソワーズ・ベレトン):ヴィックの母
  • アレクサンドル・スターリング(マチュー):ヴィックが出会う少年
  • ドゥニーズ・グレイ(プペット・ヴァラディエ):ヴィックの曾祖母

あらすじ

新学期、パリに越してきたばかりのヴィックは、男の子からブーム(パーティ)に誘われることに憧れる13歳。
友達になったペネロペと共に、意中の男の子に誘われて夢見心地な気分になるものの、ブーム会場で彼は音楽に夢中。全く楽しめないヴィックは両親に迎えに来てほしいと電話で告げる。
一人たたずむヴィックに、彼女に一目ぼれしたマチューが近づきそっとヘッドフォンをつける。そこから流れる曲にヴィックの心は完全につかまれ恋に落ちます。
そんな中、歯科医の父とイラストレーターの母が別居。その後のマチューとの関係も、頼りになる曾祖母プペットに幾度も助言をもらうものの、自分の気持ちを優先させてしまいスムーズに進みません。
気まずいまま、ヴィック自身の誕生日ブーム当日がやってきます…

映画『ラ・ブーム』の感想など

ネタバレなし

※決定的なネタバレは書いていませんが、内容に触れている部分があります。

まず、13歳の子供たちだけで夜にパーティを行うんだな…というそもそものところで異文化体験。ヴィックが誘われたブームでは映画にいく予定が変更になったという両親が出てきますが、通常大人が不在の状態で開かれるみたいですし。子供に「見つからないで!」と言われてキッチンで肩身せまそうに食事をする両親、なんだか気の毒。
そのパーティの様子が、照明暗くて音楽ガンガンかけて、あちこちカップルがいて、海外ドラマや映画でよく見るいわゆる「パーティ」と一緒で驚きます。

でもそこはやはり13歳。ブーム会場の家の前は心配して迎えに来た親たちの車で渋滞。
放任のようでいて、やはり締めるところは締めているんですね。
そのうえで、親は親でかなり自由に気の赴くまま動いていたりして。子供も尊重するし、自分自身も尊重するということなのでしょうか…。

ロマンチックな初恋物語を描きたかったという監督のことばもありますし、恋愛映画というには幼く可愛らしい作品です。1980年当時にしてもこれは夢物語だったのかもしれないし、どちらにしてもいまのリアルはもっと様変わりしているんでしょうね。

ペネロペが意中の男子をうっとり見つめて「レッドフォード似」という場面がありますが、当時フランスでもアメリカ人のロバート・レッドフォードが美男子として人気があったことを想像させるシーンです。
一瞬ですが、レッドフォード好きとしては、にやりとしてしまいました。

とにかく、1700人の応募者から選ばれたというソフイー・マルソーが、本当に魅力的です。
ちょっとたれ目で横長の瞳。前髪ありの無造作な重めボブ。
派手じゃないのに目をひく容姿で、女性の私も一目ぼれしました笑
きれいな顔立ちだけど、ひらひらしたドレスじゃなくてボーイッシュな恰好が良く似合います。
作品中の衣装はシンプルに白かブルー系で、パンツスタイルがさらに彼女の魅力を引き立たせています。
少ないけれどバレエシーンがあるもの嬉しい!

ブームの喧噪の中、マチューがヴィックの耳にあててくれるヘッドフォンから流れる「愛のファンタジー」
つまらなそうに、ひとりスナックをつまむヴィックの表情が「きょとん」から「うっとり」に変わって、そのあとは誰のことも目に入らない二人だけの世界…。この作品中、繰り返し観てしまうシーン第一位です!

ヴィックの両親のドタバタを交えて物語は進みますが、かまってくれない両親に代わって、彼女のよき相談相手になってくれる曾祖母のプペットは、登場人物の中でも人気があるのではないでしょうか。
全面的にヴィックの味方でありながらも無条件に甘やかすのではなく、意見するところではビシッときめる素敵な女性。現役のハープ奏者であり、恋愛経験も豊富、すべてにおいて完璧な女性かと思いきや傷も抱えていて深みも感じさせます。

笑える場面も多く、気負わず観られる作品です。
ヴィックの恋はこの先どう進んでいくのか、楽しんで観てくださいね。

ネタバレあり

マチューとはくっついたり離れたりの不安定な関係を過ごしたのち、ラストは自分自身が開く14歳の誕生日ブームでめでたく元サヤ…と思いきや、可愛らしく爽やかには終わりません。
子供の食べる甘いお菓子だと思っていたら、最後にピリッとスパイスを効かせてきました。

ブームに来てくれたマチューと踊り、幸せな気持ちに浸るヴィックはプペットと笑顔で合図を交わします。
それなのに!
そこに、マチューとはまったく異なるビジュアルの美少年が遅れて現れます。
入口のドアで彼とすれ違ったプペットは、何かを感じ取った表情を見せて彼を目で追っていますが、これから起こることを予感していたのかもしれません。

ダンスのパートナーチェンジで、引き寄せられるように新しい彼と踊るヴィック。
その表情はこれまでより大人びていて、「ブームに誘われたい!」と友達とはしゃいでいた一年前とは別人のようです。ああ、子供だったヴィックはすでに過去となったんだなーと少しさみしく思ってしまいました。
みなさんはどう思われたでしょうか?

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